ウクライナへの武力侵攻について-天台宗宗務総長談話-

天台宗宗務総長 阿部昌宏

 ロシア軍によるウクライナへの武力侵攻が2022年2月24日に開始されました。

 報道によると、首都キエフはじめ、各都市では多くの民間人が犠牲となり、更に多数の国民が避難を余儀なくされていると伝わってきます。まずもって犠牲となられました皆さまに心より哀悼を捧げます。

 いかなる理由があろうとも、暴力を認めるべきではありません。また生命(いのち)を脅かす行為は重大な人権侵害です。

 1987年8月の比叡山宗教サミット「世界宗教者平和の祈りの集い」が開催されて以来、天台宗は「宗教者は常に弱者の側に立つことを心がけねばならない」との信念から、国内外の宗教者らと「非戦」を誓いあい、真の平和実現に向けたメッセージを発信し続けてまいりました。

 それは、生きとし生けるもの全てが平和で安心して心豊かに暮らせる社会、すなわち「浄仏国土」建設を目指され比叡山を開かれた伝教大師最澄さまの御精神の具現化でもあります。その実現には常に利他の精神を忘れてはならないことを、戒めとして残されました。

 このたびの武力による侵攻は、仏教者として看過することは全くできません。あらゆる暴力行為を非難し、武器を置いた対話による解決を強く望みます。そして、一日も早く戦争が終結することを願い、神仏へ祈りを捧げてまいります。

令和4年3月3日
天台宗 宗務総長 阿部 昌宏

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