宗祖伝教大師一千二百年大遠忌御祥当法要を終えて

天台宗宗務総長 阿部昌宏

 「宗祖伝教大師一千二百年大遠忌」御祥当法要も6月5日の御祥当後法要をもちまして無事円成と相成りました。 全国宗務所長さまによるご出仕や、宗内寺院諸大徳と魅力交流委員会の方々によるご随喜、また全国縁故教宗派の代表の方々におかれましては、新型コロナウイルス感染拡大による3度目の緊急事態宣言下を理由に法要へのご参列をご辞退申し上げました。また全国の檀信徒及び広く一般の皆さまにも報恩法要へのご参拝も計画いたしておりましたが、健康面での安心安全を熟慮し中止といたしましたことを深くお詫び申し上げます。

 更に、このたびの3日間の報恩法要には、インターネットによる中継を通じて、各寺院やご自宅等から多くの皆さま方のご随喜を賜りました。共に報恩謝徳の赤誠を捧げていただきましたことに厚く御礼申し上げます。

 宗祖伝教大師最澄様は、真俗一貫の一乗仏教の教えによってすべての人びとを救うことに一生を捧げられました。その尊いお志を祖師方が継がれ、現在に生きる私たちに遺してくださいました。このたびの祖師先徳鑽仰大法会は、世界の平和と人びとの安寧のために示された御教えや信仰を尋ね求める千載一遇の機縁でありました。そして宗祖伝教大師一千二百年大遠忌御祥当法要は、お大師様がコロナ禍において苦悩する私たちに「忘己利他」「一隅を照らす」との教えを顕し、あるべき行動をお示し下さった3日間であったように存じます。

 大法要は終えましたが、今秋から来年にかけて東京、九州、京都の各国立博物館にて「最澄展」を、比叡山延暦寺では、大遠忌を記念した戒壇院及び法華総持院の特別公開が催されます。これらの特別行事を通じて、伝教大師様の御心に触れていただきたく存じます。また、宗徒はじめ檀信徒及び有縁の皆さまのご法助によって進めております総本堂根本中堂大改修事業につきましても、ご不便をおかけしますが引き続きご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 50年に一度の御勝縁に出会えた悦びを皆さまと共に分かち合えましたことを心から感謝申し上げ、御礼のご挨拶といたします。

合 掌

天台宗宗務総長 阿部 昌宏

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