宗祖の御教え心に、宗内一丸で
1月8日 有縁の人々が延暦寺会館に集う
令和となり最初の延暦寺年賀式が1月8日、比叡山延暦寺において催された。宗内諸大徳、政財界、山門出入方などから約350人が参列し、新年の門出を祝った。
年賀式は午前11時より延暦寺会館で執り行われ、最初に森川宏映座主猊下を大導師に参列者全員で『般若心経』を読誦した。
法楽後、新年にあたってのお言葉を述べられた森川座主猊下は、冒頭で昨年を振り返られ、天皇皇后両陛下の御即位と新元号公布により新たな御代が始まったことに触れられた。そしてラグビーW杯やノーベル化学賞受賞などの話題が「国民にとって誇らしい出来事があり、国中に笑みがこぼれたことは、真に喜ばしいことでした」と紹介。しかし、その反面で悲しい事件や自然災害が多発したことにも言及され、被害者らにお見舞いの言葉を述べられた。
さらに昨年11月24日、ローマ教皇フランシスコ聖下の来日に際し、広島で三年ぶりの再会を果たし、笑顔で交歓されたことを報告。フランシスコ教皇が発した平和メッセージの内容から「神仏から授かった私たちの“いのち”を、人間が作り出した核兵器によって奪うことはあってはならないことです」と共感され、伝教大師の忘己利他の精神にも通じるとの見解を示された。
そして、明年に迫った宗祖伝教大師一千二百年大遠忌へ、「宗祖の御教えを心に宗内一丸となって進んでまいりたい」と意欲を示された。
続いて式典が催され、杜多道雄宗務総長が挨拶し「閉塞感を打破して宗祖伝教大師が目指された助け合い、支え合い明るく安心して暮らせる社会の実現を目指すには、宝とすべきは道心であり、さらに忘己利他の実践に他ならない。来年は宗祖伝教大師一千二百年大遠忌を迎える。幸い、伝教大師最澄1200年魅力交流委員会を立ち上げていただいた。委員会の皆様のお力をお借りして、お大師様の御精神を大いに世間に敷衍してまいりたいとの覚悟を新たにした」と決意を述べた。
―今年の言葉は「一々労不惜」-
また、毎年発表される「比叡山から発信する言葉」として、今年は『一々労不惜(いちいちろうふしゃく)』が小堀光實延暦寺執行より披露された。事態のひとつひとつに労りの心を惜しまず、支援の労を惜しまずに共に力を合わせて過ごしたいとの願いが込められている。
小堀執行は「文字通り、伝教大師様が徹底して自分を忘れ周りの人たちに尽くす『忘己利他』その思いを込めた。一々労不惜をもってこの一年、専心に勤めて参ることをお約束申し上げたい」と紹介し、その実践を呼びかけた。