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サミットの歴史

比叡山宗教サミット5周年− 概要

(比叡山時報 第450号 平成4年8月8日)

美しい地球を守ろう 子供たちから大人たちへの「声」知恩院と比叡山会場でフォーラム

 日本の主要宗教の子供代表による大人たちへのメッセージを発信する、わが国初の子供宗教サミット「フォーラム地球と人類の未来−こどもからのメッセージ」が8月4日、全国から中学生ら250名が参加して京都知恩院の和順会館と比叡山延暦寺で行われた。
 “美しい地球を守ろう”この願いを伝えるのが狙いのこのサミットの趣旨は、地球環境の破壊や民族間の紛争など生命の尊厳の危機が叫ばれる中、わが国の宗教者が協力して、ふだん聞く機会の少ない子供たちの切実な声に耳を傾けるもので、世界からの注目を集めた。各宗教団体の代表の子供たちは、京都会場の知恩院では、思い思いの宗教儀礼の服を身につけ、しんけんな祈りを込めて持ち時間いっぱいにまずメッセージを発表。比叡山では、音楽中心の世界平和の祈りがくりひろげられ、宗教七団体による「アーメン」や、「三帰依」また「栄光」といった曲が流れた。比叡山宗教サミット5周年記念でのイベントは各方面に話題をなげた。
 去る8月4日9時、わが国初の子供版地球サミットの幕があいた。全国から選ばれた子供達は9時15分和順会館のホールをほぼ埋めつくし主催者である実行副委員長の藤田和海師が登壇する頃から盛り上がりを見せた。この京都知恩院の和順会館でのイベントの第1部がフォーラム・地球と人類の未来=こどもからのメッセージ=の発表であり、宗教七団体のうちのそれぞれの代表五団体が5分から7分かけて行った。

神の子も、佛の子も

 教派神道連合会代表の井上悟吾君(中3)は、「生活を見なおそう」と題して環境問題を取り上げ、「全世界の人々が真剣にこれと取り組み始めたときに、本当に住みやすい地球がやってくると信じる」と読み上げ全日本仏教会代表の岸本真左子さん(小4)は、「日本は恵まれすぎて有難さがわからない。宗教がそれを教えなくてはならない」と訴えた。またキリスト教代表の柳田幸子さん(高2)は、ローマ教皇のメッセージを引用して「平和は、真理と正義と平等と愛の4本の柱によって初めて築かれる」ときり出し、この世界に「不平等や差別が満ちている。また人権も踏みにじられている。まずこの人の世をなおさねば…」とサミットの意味づけをのべた。
 神社本庁の北村美峰薫さん(高1)は、「鎮守の社」「神の宿る森」の大切を訴え、神と自然の国、日本を大切にしてほしいと訴え「キッズ・パワー=こどもの力」を力説した。最後に「こどもに大した事ができるわけないと思っている人はいるけれどそれは間違い」とのべていた。
 新日本宗教団体連合会の富永正子さん(中1)は、「同じ生命でも、条件が異ると大きな差が出来る。一人の人を救い、他方何万人の人を犠牲にする、大人はいったい何を考えているのでしょう」とのべて拍手をあびた。そして最後に「世の中の道具になる」この教えを信じますと結んだ。

「栄光」「三帰依」「アーメン・ハレルヤ」

 第2部、世界平和祈りの集いは、おなじみの比叡山根本中堂の前広場で折から天台宗青少年登山の人々の参列の中、また夏の観光客や、研修の若い人々の見守るなか大津管弦楽団の音楽と共に祈りの歌から入った。各団体の祈りの歌は、教派神道は「栄光」、全日仏は「三帰依・四弘誓願」またキリスト教連は「アーメン・ハレルヤ」、神社本庁は「心のふるさと」を歌い、新宗連では「ふれあいのうた」そして世連では「いつも楽しく」といった具合に楽しく、明るく、そして厳かにそれぞれ祈りの歌を唱えた。

全山の鐘をならして

 3時30分頃、比叡山メッセージ朗読が終わると、比叡山全山の鐘がつき出され、それは遠く、近く、弱く強く全山にこだました。
 続いてバチカン・アリンゼ長官をはじめ世界の宗教者からの平和のメッセージの披露があり、平和を語ると題した天台座主猊下の講演もこの平和祈りの集いを盛り上げた。
 比叡山宗教サミット5周年のこの行事は日本の宗教七団体と宗教サミット協力団体及び天台宗関係者が実行委員となって企画されたものであったが「子供サミット」として全世界から注目を集め、電波にのって全世界にその成果と意味合いが打電されていった。

宗教こどもサミット 協力団体

☆教派神道連合会
☆全日本仏教会
☆日本キリスト教連合会
☆神社本庁
☆新日本宗教団体連合会
☆世界連邦日本宗教委員会
☆世界宗教者平和会議日本委員会

こどもからのメッセージ=趣意書

 いま、私たちの地球は泣いています。
 南の国の熱帯林が無残に伐り倒され、酸性の雨がふり、フロンガスで大気中のオゾン層が破壊され、二酸化炭素が増えて温暖化するなど異常気象が続いています。かつて宇宙からみて青かった地球が、いまでは病んで黄色がかってみえるといいます。
 私たちの仲間も泣いています。
 世界の各地で憎しみから戦争や民族紛争がやまず、たくさんのこどもがいのちを失っています。また、ききんや伝染病で、多くのこどもがいのちを落としています。
 世界の大人たちは今、自分たちの犯した過ちに気づき、限りある地球の環境を守るため、今年6月に各国の大統領や大臣が集まり、ブラジルで地球サミットを開きました。国連も戦争の防止やこどもたちを病気や貧しさから救うため全力をあげています。
 でも、私たちは知っています。こうした悲しい出来事の多くは人間がいのちの大切さを忘れ欲望のおもむくままに突き進んだ結果だということを。
 21世紀もすぐそこまでやってきました。私たちはこうした問題の解決を大人だけにまかせず、きたるべき21世紀もそれぞれの信仰に従い、世界の仲間たちに心を一つにして平和を祈り、行動しようと思います。
 そして、このすばらしい地球を守り、自然の生きとし生けるものと共存するために、私たちは声を大にしていのちの尊さを訴え続けていこうと思うのです。それが同時に私たちの次の世代、さらにその次の世代の仲間たちに明るい希望を伝えることだと信じているからです。
 世界の宗教指導者たちが比叡山に集い、それぞれが信じる宗教の違いを超えて世界平和を祈ってから5年がたちました。この間、世界では平和への大きな前進がありました。
 今年8月4日、日本の宗教指導者たちが集い、平和への決意を新たにするのを機会に、信仰をもつ私たち仲間も同じ席に集い、平和への願いを発表いたしました。みなさん、ありがとうございました。


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