天台座主猊下新年ご挨拶

人類の叡智を結集して

天台座主 森川宏映

新年明けましておめでとうございます。

 昨年8月には日本宗教界の総力を結集し比叡山宗教サミット30周年記念『世界宗教者平和の祈りの集い』が開催されました。世界18カ国から代表的宗教指導者24名を含む約二千人が参加され、世界宗教史上に特筆されるべき集会となりましたことは、まことにご同慶に耐えない次第でございます。

 また宗門は、祖師先徳鑽仰大法会第二期完遂のため総力を挙げて取り組み、大きな盛り上がりを見せております。その記念事業である国宝根本中堂の大改修も順調に推移しており、有り難いことと存じます。

 更に昨年は北嶺回峯行の創始者である相応和尚一千百年御遠忌の年であり、10月2日には御生誕地の長浜市東浅井の北野神社に石像が建立され、御祥当の11月3日には根本中堂において法要が厳修されるなど記念行事が相次ぎました。

 これに先立ち千日回峰行を満行された釜堀浩元大阿闍梨が10月14日に京都御所へ土足参内され玉体加持の儀を執り行われました。戦後14人目の遂行となりますが、相応和尚一千百年御遠忌の年に満行は、まさに諸天善神のご加護でありましょう。

 自然災害の猛りは、年々異常なる様相を示し人々を苦しめるようになりました。福岡、大分両県で発生いたしました九州北部豪雨で犠牲になられた方々に心より哀悼の意を表し、季節外れの台風により被害をうけられた皆様に衷心よりのお見舞いを申し上げます。

 また、日本本土上空を何度もミサイルが飛ぶという暴挙が何度も続き、軍事衝突の危機が高まりつつあります。ひとたび戦争が勃発すれば、人類滅亡も招きかねません。各国が協調し、人類の叡智を結集して、そのような事態を回避されんことを願います。

 本年が、平和で実り多い年であることを念じつつ、新年のご挨拶といたします。

天台座主 森川宏映

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