天台宗からのお知らせ
 
◆天台座主猊下新年ご挨拶
天台座主 半田 孝淳

 新年明けましておめでとうございます。皆様には清々しく初春を迎えられたこととお慶び申し上げます。

 昨年、祖師先徳鑽仰大法会も二年目を迎え、慈覚大師一千百五十年御遠忌祥当法要を厳修し、教区法要や結縁潅頂などで多数の檀信徒の皆様にご登叡をいただき、大変ありがたく思います。特に慈覚大師様が広められた結縁潅頂では、皆様がご縁の仏様を得仏され、日々の生活に仏縁を感じ、精進されておられることと存じます。

 今後は、平成二十八年八月には宗祖御生誕一千二百五十年をお迎えするなど、大法会は中盤へと向かうところであり、宗徒・檀信徒をはじめ、広く多くの皆様方に益々のご協力をお願い申し上げます。

 しかし目を転ずれば、世界各地で自然災害が頻発し、日本においても、東日本大震災の復興が先に見えず、今なお苦しみの中で新年を迎えられた方々が多くおられますことを忘れてはなりません。

 私ども人間は、利便を求める為に文明が発達し技術発展があったのだと思います。それがやがて、便利と贅沢が入り交じり、不要なものであっても求めてしまっているのが現状でありましょう。

 お釈迦様は法華経『普賢菩薩勧発品第二十八』に「少欲知足」と説かれ、宗祖伝教大師様は『道心の中に衣食あり、衣食の中に道心なし』と遺され、「真の道を求める者には、必要の衣食住は自然に備わり、衣食住に執着し、私欲に心が奪われている者には真の道は求められない」と申されておられます。

 今何をするべきか、有りの儘(まま)を受け止め、自然との共生、さらには生かされる感謝を今一度思い起こし、一年をお過ごしいただく事で、安寧の世界が迎えられると存じます。

 本年が良い年となりますようご祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。


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