天台宗からのお知らせ
 
◆天台座主猊下新年ご挨拶
天台座主 半田 孝淳

 平成二十五年の新春を迎え、皆様方にはお慶び申し上げます。

 昨年四月には、十年に亘る祖師先徳鑽仰大法会の開闢を迎え、五月には総開闢奉告法要を厳修いたしました。

 本年は慈覚大師一千百五十年御遠忌の御祥当を迎えますが、昨年七月より、東京におきましては慈覚大師の御事績を顕彰する展覧会や講演会などが開催され、総本山では教区法要、結縁潅頂が厳修されるなど、大法会記念事業が盛会に執り行われ、慈覚大師はじめ祖師方への報恩感謝の誠が披瀝されており、大法会が日々盛り上がりをみせておりますことは、同慶の極みでございます。

 さて、東日本大震災発生から早二年になろうとしております。が、なお復興への道は険しいものがございます。本年も伝教大師の「忘己利他」「一隅を照らす」という御精神に基づいた支援の手を、出来うる限り被災者の方々に差し伸べ続ける決意を新たにしております。

 また、ロンドンオリンピックでは、史上最多のメダルを獲得した日本人選手の活躍、さらに山中伸弥京都大学教授のノーベル医学生理学賞受賞という名誉あるニュースは、私どもに大きな励みとなりました。

 産業革命以来、人類はひたすら技術革新に力を注いでまいりました。その結果「物質的な豊かさこそが幸福である」という価値観が世界の常識のようになり、エネルギー確保のために人類は自然環境破壊などを引き起こしてきたのであります。
 昨年八月に開催された比叡山宗教サミット25周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」で「われわれは技術の進歩の成果を無条件に受け入れるのではなく、その選択に深い倫理性が求められていることを知るべきである」という見解を示しました。
 地球上のあらゆる生命が、安全に過ごせるように、世界の平和が一日も早く到来することを望むものです。

 被災地の復興と、被災者の方々、ならびにすべての人々が安寧ならんことを祈念申し上げて新年の御挨拶といたします。

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