天台宗からのお知らせ
 
◆天台座主猊下新年ご挨拶
天台座主 半田 孝淳

 明けましておめでとうございます。本年が皆様にとりまして良い年になりますよう心よりご祈念申し上げます。

 旧年は、通例の行事、法務に加え、比叡山から国内外に他出することの多い年でありました。今上陛下には目出度くご即位二十周年をお迎えになり、私も奉祝式典に参列させて頂きました。

 五月には、宗門要路の方々と天台山国清講寺に参拝させて頂き、四川大地震のために延期されておりました開宗千二百年慶讃大法会の結願を、高祖天台大師様に奉告いたしました。六月には、予てよりご厚誼を頂いております金剛峯寺座主松長有慶猊下よりご招請を頂き、弘法大師降誕会法要に随喜し、また高野山奥の院への参拝も果たすことができました。十一月には、長野県上田市の名誉市民に推され、十二月には、竺主に就任しましたインド山日本寺の晋山奉告法要を、聖地ブッダガヤの日本寺本堂において勤めることができました。

 総本山におきましては、祖廟浄土院の侍真僧の交代があり、十二年籠山が継承されました。もう一方の修行門、回峰行も千日行が達成され、古式に則って京都御所での参内御加持も奉修せられました。渡邊惠進前天台座主猊下がお元気にて百寿をお迎えになるなど慶事も多く、様々な行事・法要も達成され、誠にご同慶に堪えない次第でございます。

 しかしながら、世情に目を転ずれば、国内では経済の低迷による雇用不安、格差と貧困、年間三万人を超える自死者の問題、薬物汚染など心痛むことの多い年でありました。また国際的にも、依然、紛争・テロによる無差別殺戮が各地で頻発しております。環境問題も各国の思惑もあり、有効な対処方法を見いだせずにおります。この中で、世界的潮流となりつつある核廃絶が、是非実現されることを強く望むものであります。

 宗門では、濱中内局が任期満了を迎えられ、阿純孝師を宗務総長とする新内局の発足をみました。困難な時期ではありますが、宗門の発展護持のためご尽力頂きますよう大いに期待致しております。

私も九十余歳の老衲ではございますが、高祖、宗祖のみ教えを体し、一隅を照らすという一灯を高く掲げて、新しい年に臨みたいと存じております。皆様のご多幸を祈念し、新年のご挨拶といたします。

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