天台宗について

The TENDAI Journal~天台ジャーナル~

天台ジャーナル 第207号

医療用マスクを滋賀県庁と病院へ寄贈
中国からの善意を届ける

 天台宗と一隅を照らす運動総本部は、中国佛教協会から寄贈されたマスク1万枚を滋賀県庁に6千枚送り、県内の甲南病院と草津総合病院に2千枚ずつ持参した。また宗務庁では医療現場で不足する防護服作りを職員で進めるなど、「忘己利他」の精神で、一日も早い終息を願い活動を続けている。

天台宗では新型コロナウイルス感染拡大防止のため、全国に緊急事態宣言が発令された直後の4月17日付けで「新型コロナウイルス感染拡大に関する声明」を杜多道雄宗務総長が発布。その後、医療物資の不足が深刻化している滋賀県の呼びかけに対し、比叡山宗教サミット「世界平和祈りの集い」の雨天時対応に備蓄していたレインコート300着を提供した。
 マスクは、長年にわたり交流を深めてきた中国佛教協会から寄贈されたもので、5月12日に宗務庁に到着した。取り扱いについてすぐさま協議され、滋賀県庁と一隅を照らす運動団体会員の医療法人社団仁生会甲南病院(甲賀市)、一隅を照らす運動総本部が発行する機関紙『きらめき』の取材を通じて交誼のある草津総合病院(草津市)に寄贈することを決めた。
 
 マスク不足解消に一役

 一隅を照らす運動総本部の森定慈仁総本部長が5月18日、甲南病院と草津総合病院を訪問し、マスク各2千枚を届けた。(写真)
 甲南病院では、古倉みのり理事長と山本寛院長に面会。2月以降マスク不足が深刻で、現在も2日に一度、洗浄しながら使用しているという。院内感染を防ぐためにも「気を緩めることが出来ない状況」(古倉理事長)が続く。
 山本院長は「大切に使わせていただきたい」と話した。
 また草津総合病院では、平野正満慢性期病院開設準備室長に手渡した。同病院では5月13日からPCR検査を行う「地域外来・検査センター」が開設されたばかり。平野室長からは感謝状が送られた。なお滋賀県庁には5月15日に郵送で寄託した。
 滋賀県を含めた39県の緊急事態宣言が14日に解除されたが、天台宗では引き続き医療機関への支援等を継続する。

※新型コロナウイルス感染症予防に伴う取材自粛のため、本号は紙面を4ページとしております。

素晴らしき言葉たち -Wonderful Words-

Sapere aude (知る勇気を持て)

ホラーティウス (古代ローマの詩人)

 この言葉は近代哲学の祖といわれるカントが著書の中で引用したものです。
 新型コロナウイルスのパンデミックで世界中はかつてない混乱に陥りました。日本では、5月末現在、感染者数が落ち着き、徐々に経済活動や外出制限が解除されつつあります。しかし、私たちはこのウイルスと今後も長く向き合っていくことになりそうです。
 私たちは病気に対してわからなければわからないほど恐怖を覚えます。一刻でも早く、実態が解明され全てが明らかになってほしい。そして対処法が確立されてほしいと願います。
 不安から発生したさまざまなデマ、不確かな情報が世界中で飛び交っています。しかも現在はインターネットの発達により、誰かがつぶやいた憶測があっという間に多くの人に共有され、あたかもそれが真実のように語られてしまう。新聞やテレビのニュースは専門家なりの確認がなされてから発信されます。しかし、インターネットにはそれがありません。無法地帯に近い状態なのです。何が正しく、何が間違っているのか、その真偽を判定するのは私たち自身なのです。
 だからこそ、私たちは正しい知識を身につける必要があります。新型コロナウイルスに関してはわからないことが多いですが、伝染病に関しての知識はすでに確立されているものもあります。どうすれば予防できるか。また、感染したらどう行動すべきか。それを一人一人が知って行動することで、世界は安定します。
 『啓蒙とは何か』(中山元訳。光文社古典新訳文庫)によると、「知る勇気を持て」の後にはこう続きます。「正しく生活すべき時期を先延ばしする人は、川の流れがとまるのを待つ田舎者と同じだ。川は流れる。永久に、滔々と流れる」。
 世の中は川のように動き続けます。そして、300年前に生まれた哲学者の言葉は、常に正しく私たちを導いているのです。

鬼手仏心

がんばろう日本、世界

緊急事態宣言下のGWが終わった。
 例年ならば大型連休を旅行やレジャーで人が溢れかえっていた場所がウソのように静まりかえっている報道をみて、改めて日本人の辛抱強さを実感させられる。
 世界を見渡してみてもロックダウンしてなお、感染、お亡くなりになる方が増える中、自粛の要請のみで医療崩壊目前で踏みとどまっているのは、やはり自分が感染したくないという気持ちはもちろんの事だが、身近な人を守りたい、疲弊する医療従事者に少しでも力になりたいという気持ちを皆が持つことができた表れではないだろうか。
 医療現場では二十四時間体制で次々と運ばれてくる重篤患者への医療が行われている。目に見えないコロナウイルスを目の前にしての対応は恐怖と緊張で心が休まることがないであろう。
 正に「忘己利他」でもって未知のこのウイルスと戦ってくださっている方々に心からの敬意と感謝を申し上げます。
 現在、急ピッチで症状を緩和する抗ウイルス薬が開発されている。期待されている「アビガン」は日本の企業によるもので、他にも「フサン」や「フオイパン」といった日本の企業が開発した薬がある。京都府立大学ではダチョウを使ってウイルスの抗体を作るという研究がすすめられ既に抗体をしみこませたマスクやスプレーなどが医療機関で使用されているという。医療先進国として世界を救うために日夜取り組んでくださっている皆さんへ心からのエールを送ります。
 これから暑い夏がやってくる。毎年のようにやってくる台風や集中豪雨にも警戒していかなければならない。
 二重、三重に苦しむ地域がでないことを心から祈りたい。
 がんばろう日本 がんばろう世界。

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