天台宗について

The TENDAI Journal~天台ジャーナル~

天台ジャーナル 第190号

全国一斉托鉢を実施
共に分かち合うこころをもって

 天台宗では、「伝教大師のご精神を現代に生かそう」と毎年12月1日に全国一斉托鉢を実施しており、昨年も同日に行われた。今回で33回を数えるという長年に亘る行事で、今では「師走の風物詩」といわれほどに定着している。この日を含め、全国各地で行われる托鉢に寄せられた浄財は、一隅を照らす運動総本部の地球救援募金などを通じて、国内外の福祉活動への支援に活用される。

 全国一斉托鉢は、昭和61年に故山田恵諦天台座主猊下が先頭に立って浄財の勧募にあたられたことが始まり。以来、毎年実践されてきたが、平成9年からは、12月を『地球救援活動強化月間』と定め、実施日の1日の托鉢はもとより、長期間に亘る街頭募金やバザーなどの様々な形での活動を呼びかけ、教区本部や各部・寺院単位での実施が続けられてきた。
 こうした取り組みが今では師走の行事として定着し、全国各地で数多くの方々から心のこもった浄財が寄せられるようになってきている。
 同日の比叡山坂本地区で実施された托鉢では、森川宏映天台座主猊下をはじめ、杜多道雄天台宗宗務総長、小堀光實延暦寺執行、延暦寺一山住職、天台宗務庁役職員など約100名が参加。宗祖伝教大師生誕の地、生源寺で森川座主猊下の導師で法楽を修した後、坂本地区の里道を家々の戸口で読経しつつ行脚し、浄財の寄進を受けた。(写真)
 行脚で訪れる家々では、玄関口で托鉢の一行を待ち受ける人も多く「どうぞ困っている方々のために」との言葉を添えて浄財を寄せていた。
 その後、地区の一軒一軒を訪れる戸別托鉢やJRや私鉄の駅頭での街頭募金も実施された。この日の托鉢で寄せられた浄財は、NHK歳末たすけあい運動と同海外たすけあい運動に寄託された。
 その他の托鉢で寄せられた浄財も、各地の社会福祉協議会や日本赤十字社に寄託される。


 坂本地区での托鉢と共に行われた街頭募金は、JR比叡山坂本駅、大津京駅、堅田駅や京阪坂本比叡山口駅頭で実施された。毎年行われていることから「ご苦労様です。どうぞ恵まれない方に」の言葉を添えて心のこもった浄財が寄せられていた。

素晴らしき言葉たち -Wonderful Words-

元旦は朝からみんな笑ってる

伊丹市立稲野小学校 5年 髙木 雅樹 (2007年・第一回佛教大学小学生俳句大賞最優秀賞)

 明けましておめでとうございます。
 新しい年を迎えるこの日、笑顔ですごしていらっしゃいますか。
 子どものころはお正月を指折り数えて楽しみにしていたことを思い出します。
 年末の家族総出の大掃除では、板敷きの床を雑巾で丁寧に磨いたり、普段よりお風呂のタイルの目地を白くなるようにこすったり、本棚を拭いて本を整頓したり。いつもは手が届かない家の内外の掃除を手伝いながら、その先にある楽しみに心を浮き立たせていました。
子どもにしてみたら、久しぶりに会う親戚にお年玉はもらえるし、従兄弟たちと福笑いや双六を楽しんだりできる。食べるものもいつもより良いもので、着ている服も華やか。
いつも忙しそうにして厳しい顔をしたおとなたちも、元旦は朝から表情を緩めて楽しげにしている。
そんなお正月は、子ども心にも、きらきらと輝いて見えたものです。
もちろん、おとなになった現在も、新しい年を無事に迎えることができるありがたさ、誰かと共に迎えられる喜びが元旦にはあります。また、なかなか会えない友たちからの消息を年賀状で知ることも楽しみの一つです。
そんなありがたい思いと、新しい年への期待がないまざって心がはずむ。それが自然と表情に出て、おとなたちが笑っているから、子どもたちも嬉しくてたまらなくなる。皆がウキウキした気持ちでいることに対する喜びいっぱいの様子が、冒頭の俳句からにじみ出て、読み手に伝わってくるかのようです。
「年ほぎの 朝を楽しみ童ども 騒ぐ声にも力籠れり」(伊藤左千夫)。
皆さまにとって笑顔が多い一年になりますように。

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