天台宗について

法話集

No.40お焼香の意味

 お香は、香気ある樹脂(じゅし)や木片から作られています。熱帯の地では生活臭や悪臭を防ぐ目的で使用され、その効果により、清々しい気持ちで生活が送れるようにした古くからの慣習により、供養や修行をする場所を清めるために香が焚かれました。
 お釈迦さまの弟子に富那奇(フナキ)という高僧がいました。富那奇は、兄の羨那(センナ)と共に一念発起し、力を併せて故郷にお堂を建てました。二人は一刻も早くお釈迦さまをお迎えしたく、敬慕する気持ちを込めて香を焚いたところ、その煙はお釈迦さまの下(もと)へ天蓋(きぬがさ)となって届き、二人の供養する心を悟られたお釈迦さまは、すぐさまそのお堂にお出向きになり、説法をされたという言い伝えがあります。
 この言い伝えにより、二人のように心を込めて、念じながら香を焚けば、いつ、どこへでもお釈迦さまはそのお姿をお示しになり、ありがたい法を説かれ、聞く者は安心(あんじん)を得ることが出来るという信仰が生まれたのです。
 私たちは自分以外の様々な生命の恩恵によって、自らの生命(いのち)を保っています。
 また、ご先祖さまがいなければ、私たちは人間として、この世に生を受けることはできなかったのです。
 正に得難い生命をこの世に受けながら、自らの心の運び方によって、良い心、悪い心どちらにも動いていきます。知ってか知らずか、罪を犯してしまうこともあるでしょう。お焼香は、日頃重ねている罪を謙虚に受け止め、その罪をお焼香の香りと共に滅していただき、ご先祖さまや、数々の恩恵を受けた生命や、人々に対する感謝と供養の心をこめてしてみてはいかがでしょうか。
 きっと、心の中に、さわやかな贈り物が届くことでしょう。
掲載日:2007年06月27日

その他のおすすめ法話

ページの先頭へ戻る