天台宗について

法話集

 「心を耕し 生きる喜び 共に味わう」

 昨年の教区布教師研修会は、立石寺本坊で行われた。講師は出羽三山と隣接する修験の山。葉山の麓に開校している。人を愛し、自然を愛し、生きる喜びを共に味わう「卒業のない学校」「樽石大学」(民間生涯学習施設)の学長・松田清男(せいなん)氏である。演題は「祖父からもらった宝物」。講演内容を端折って紹介しよう。
 氏は昭和5年生まれ83歳。実に若々しく健康で、年間100回程度講演を行いその中で「子育て」をテーマにし「心」を耕し未来を担う人づくりについて、また金では買えない素晴らしい「心の宝物」を子どもたちへ、そして次世代へ伝え残したいと語る。
 祖父は当時田舎では数少ない獣医師であった。昭和10年ごろまだ珍しかった自転車に乗り、毎日4~5軒往診に出、帰るとすぐに自転車の掃除をしながら「ご苦労様だったな~」と自転車を労るように話を交わし、傍で見ている孫の自分に「真夏のカンカン照りの暑い日に自転車に乗って行って来た俺でさえこんなに暑かったんだから、俺に乗られた自転車は、さぞ暑かっただろう。だから掃除をするんだ」と。
 松田氏も子供たちの心を育てることに関して教壇にたっていた頃に、窓ガラスを壊した子どもには何時も窓ガラスにお詫びをさせ、「ガラス窓、何と言ってたか」と聞きはじめ頃は「何も言っていない」の返事。窓ガラスと会話が出来るまで何回もお詫びに行かせ「自分と自分の対話の世界」を持てる人間を育てたい。と松田氏は熱く語っている。
 モノの中に「心」を感じる感性を見い出す。「草木国土悉皆仏性」である。自分と自分の対話の世界は宗教的心情の世界でもある。
 葉山の大自然に触れ合い、いろんな人と出会うことで発見し感動を味わうことが出来る。これは遠い宿縁で、今の自分の存在はご先祖様たち約一億人を越す方々から預かった大切な命があるからであり、また、人との出会いを大切にし、挨拶は「向こうから」より、「こちらから」を心がけ、言葉でハッキリと言うことで、お互いの絆が深まります。
合 掌

(文・松野有志)
掲載日:2013年08月01日

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